2016 年〜2020年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載され、アニメや映画化など社会現象を巻き起こした吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)作の「鬼滅の刃」。その人気は日本国内にとどまらず、世界中に多くのファンを持つ大ヒット作品です。
物語は大正時代の日本。主人公・竃戸炭治郎が鬼に家族を殺され、唯一生き残った妹・禰豆子が鬼に変えられてしまったことをきっかけに、鬼狩りとして道を歩み始めます。
鬼を倒す剣士たちが所属する鬼殺隊(きさつたい)に入隊した炭治郎は、仲間たちと共に過酷な戦いに挑みながら、妹を人間に戻す方法と、すべての元凶である鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)を倒すことを目指していきます。
その中でも今回は「鬼滅の刃」に登場するキャラクターの中でも、ひときわ異彩を放ち、若くして鬼殺隊の柱に選ばれた「時透無一郎」について紹介します。
プロフィールや特徴の他、登場シーンから亡くなるまでを詳しく解説するので、気になる方はぜひ読み進めてみてください。



「鬼滅の刃」時透無一郎のプロフィールまとめ
- 名前:時透無一郎(ときとう むいちろう)
- 年齢:14歳
- 誕生日:8月8日
- 身長:160㎝
- 体重:56㎏
- 所属:鬼殺隊・霞柱(かすみばしら)
- 呼吸法:霞の呼吸(かすみのこきゅう)
- 好きな食べ物:ふろふき大根
- 趣味:紙飛行機
- 声優(アニメ版):河西健吾
時透無一郎は鬼殺隊の中でも最上位に位置する霞柱(かすみばしら)です。年齢は14歳と若く、中性的な顔立ちと、長い黒髪が特徴的です。
感情をあまり表には出さず、無表情で冷静な性格ですが、その実力は本物で、わずか2ヵ月で柱に昇格した天才です。
無一郎は、日の呼吸の使い手である始まりの剣士の子孫で、「霞の呼吸」の使い手です。
記憶喪失の状態から物語が進むにつれて双子の兄・有一郎との過去を思い出し、無一郎の心の奥に秘めた優しさや葛藤が明かされていきます。
冷静沈着ながらも、仲間への強い思いや正義感を持つ無一郎のキャラクターは、「鬼滅の刃」のファンから高い人気を誇ります。
時透無一郎の声を担当しているのは、声優の河西健吾さんです。静かで透明感のある声質が特徴で、「機動戦士ガンダム 鉄のオルフェンズ」の三日月・オーガスや、「三月のライオン」の桐山零なども担当しています。
時透無一郎の生涯まとめ
時透無一郎の生涯をまとめました。
登場シーンから亡くなるまで詳細を確認していきましょう。
時透無一郎の初登場シーン「柱合会議」
時透無一郎が初めて登場したのは鬼殺隊の「柱合会議」のシーン(原作 第6巻46話 アニメ 第1期 第23話)です。この場面では、主人公・炭治郎と鬼となった禰豆子をめぐり、柱たちが隊律違反か否かを議論します。
その柱の一人として無一郎も参加しており、その冷静すぎる態度や年齢に見合わない落ち着きがありました。
実際に、柱合会議で他の柱たちがぶつかり合う中、無一郎だけ静かに「くだらないことで時間を使いたくない。さっさと決めてくれないかな」と言います。
この発言は、明らかに炭治郎や禰豆子の件に関して全く関心がないことを表しています。
その態度は冷たく見えるかもしれませんが、後の登場するシーンの伏線にも繋がっています。
冷たい言動の裏には、過去の記憶を失っている状態で感情が希薄になっていた背景があります。
つまり、柱合会議での冷たいふるまいは、時透無一郎というキャラクターの現在地を示す重要なスタート地点とも言えます。
また、わずか14歳で柱になった無一郎の落ち着いた立ち振る舞いは、異例の才能を感じさせます。
他の柱よりも幼く見える外見にもかかわらず、態度は大人以上に冷静。そのギャップに心引かれたファンも多かったのではないでしょうか。
この場面を通じて、無一郎は天才的な剣士であると同時に心を取り戻す途中の少年であることも分かります。柱合会議は、無一郎の物語の始まりを象徴する重要なシーンです。
「刀鍛冶の里編」
無一郎の初登場のシーンでは、冷たく感情の読めないキャラクターとして描かれていましたが、「刀鍛冶の里編」(原作 第12~15巻 アニメ 第3期)では時透無一郎の隠された過去や人間性が明かされました。
時透無一郎の過去の物語は作中でも屈指の感動的なエピソードとして、ファンの間でも人気を集めています。
「刀鍛冶の里編」のストーリーでは、炭治郎たちが戦闘の傷を癒すために向かった「刀鍛冶の里」を舞台に鬼殺隊と上弦の鬼たちの激戦が繰り広げられます。
刀鍛冶の里で炭治郎たちと再会した無一郎は、周囲の人に対して無関心な態度をとってしまいます。
特に、刀鍛冶の里の少年・小鉄に対しては「僕が正しいことをしてるんだから、黙ってみてればいいよ」の冷酷な言動を見せ、まるで機械のような印象を与えます。
しかし、この頃の無一郎は記憶の大半を失っており、自分がなぜ剣を振るうのかという動機も曖昧なまま戦っていました。その姿はまるで「霧」のような実体がつかめない存在のようにも思えます。
刀鍛冶の里の少年・小鉄との衝突の中で、無一郎は次第に自身の心の奥に眠る感情と向き合っていくことになります。
無鉄砲ながらも真っすぐな小鉄の言葉や、傷を負いながらも仲間を想う炭次郎の姿に触れることで、無一郎は少しずつ変わっていきます。
さらに敵である鬼との戦闘の中で溺死状態に陥った無一郎は、兄である有一郎との記憶を思い出します。かつて家族を殺された過去、そして兄との別れの言葉が人として戦う原動力になり、失われていた感情が呼び覚まされました。
時透無一郎の最大の見せ場は、上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)との一騎打ちのシーンです。
玉壺の血鬼術により水牢に閉じ込められ、命の危機に瀕した無一郎ですが、その極限状態の中で痣(あざ)が発現します。鬼殺隊の中でも限られた者にしか到達できない領域に足を踏み入れました。
そして、霞の呼吸・漆の型「朧(おぼろい)」を使い、驚異的なスピードと剣技で玉壺を圧倒します。無一郎の本当の実力と、心から誰かを守りたいという意思が融合した瞬間でした。
刀鍛冶の里編での無一郎は、ただのバトルパートではなく、無一郎というキャラクターの人間性を取り戻したストーリーでもあります。
記憶を取り戻し、仲間との絆を知り、命をかけて守りたいと思えるものを見つけた無一郎は、まさに少年から本物の柱へ成長しました。
冷たく無機質だった彼が、涙を流し、誰かに感謝し、誰かのために命をかける。この過程は鬼滅の刃の中でも特に美しく、感動する場面ではないでしょうか。
「柱稽古編」
「柱稽古編」(原作 第15巻後半〜16巻)では、鬼舞辻無惨との最終決戦に備え、柱たちが隊士たちを鍛える合同訓練エピソードになります。
柱たちのそれぞれの得意分野を活かした訓練が行われ、無一郎はこの稽古で、剣技・体術を指導する役割を担います。
無一郎の稽古は非常に実践的で、厳しいものでした。無一郎自身が天才であるため、動きや体術には一切の無駄がなく、稽古を受ける側は体力・集中力ともに試されていました。
「柱稽古編」の無一郎は、「才能ある若者」から「心を持った柱」へ大きく成長していく重要な場面です。
感情を抑えていた無一郎が仲間と向き合い、鬼との決戦に向けて準備していく姿は多くのファンにとって感動的なシーンではなかったでしょうか。
「無限城編」
「無限城編」(原作 16巻後半〜23巻)では、上弦の鬼・鳴女(なきめ)の血鬼術により鬼殺隊の隊士たちが異空間のような無限城に引きずりこまれるところから始まります。
そこには、鬼の頂点に立つ鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)と上弦の鬼たちが待ち構えており、隊士たちは分断された状態でそれぞれ壮絶な戦いに挑んでいきます。
無一郎は無限城編において鬼殺隊の柱として最大級の覚悟を持って戦い、自らの命と引き換えに仲間たちへ未来を託しました。無一郎の死は、悲劇であると同時に、強さと優しさが表れたものでした。
無一郎が対峙したのは、上弦の鬼の中でも最強とされる上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)でした。黒死牟は実は、無一郎の先祖にあたる人物継国巌勝(つぎくにみちかつ)が鬼となった姿です。
人間時代は鬼狩りの剣士で、「月の呼吸」の使い手でもありました。
しかし始まりの呼吸の使い手である緑壱の桁違いの才能に嫉妬し、いつか緑壱を超えるという強さへの執着心から人間を捨て、鬼になることを選択してしまいます。
無一郎は、黒死牟との戦闘のなかでその血のつながりが明かされることになります。
つまり、無一郎にとって黒死牟は遠い血縁の祖先であり、人間だった時の剣士の末裔が彼に立ち向かうという運命的な戦いでした。
無一郎は圧倒的な力の差がある中でも、一歩も引かず、柱としての誇りをもって戦い抜きます。そして無一郎の奮闘が他の隊士たちの勝利への道を開いていくきっかけになりました。
時透無一郎の死亡シーン
無一郎はかつて人間時代に祖先であった黒死牟と対峙し、壮絶な戦いを繰り広げます。
戦闘開始直後、無一郎は黒死牟の剣技と異形の血鬼術に圧倒されてしまい、左腕を切断されるという致命的なダメージを負ってしまいます。

これまでどんな敵とも互角以上に渡り合ってきた彼ですら、黒死牟の強さには歯が立ちませんでした。
体力を奪われながらも、無一郎はあきらめることなく戦線に残り、援護に駆け付けた不死川実弥(しなずがわさねみ)、悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)、玄弥と共闘します。

戦いが長引く中、黒死牟の再生力と異常なまでの剣術に対し、隊士たちは徐々に追い詰められてしまいます。
そんな中で無一郎は自らの命を犠牲にしてでも黒死牟を止める決意を固めます。そこで無一郎は、自分の体を犠牲にして黒死牟に刀を突きたてるという捨て身の行動にでました。

この一撃により、黒死牟の動きが鈍り、戦況が一気に変化します。
不死川、悲鳴嶼がとどめの攻撃を加え、黒死牟を倒すことに成功しますが、無一郎の体は限界を超えており、内臓も貫かれていたため、出血も止まりませんでした。
戦いが終わり、無一郎の意識は次第に遠のいていきました。静かに最期の時を迎える中、無一郎の心に浮かんだのは、かつて鬼に殺された双子の兄・有一郎の姿でした。
目の前に現れた有一郎は、こう語りかけました。「無一郎、お前はよく頑張った。もう休んでいいよ。」
今まで感情を表に出すことが少なかった無一郎が、その言葉を聞いて涙を浮かべて微笑む描写は多くの読者が心を打たれたのではないでしょうか。
無一郎は大切な人と再会し、愛された記憶を胸に穏やかな表情で亡くなりました。

まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では「鬼滅の刃」に登場する時透無一郎についてのプロフィールや登場から亡くなるまでを解説しました。
時透無一郎は「鬼滅の刃」において最年少でありながら圧倒的な実力を誇る霞柱として登場します。
初登場時は感情に乏しく、冷たい印象を受けた読者も多かったかもしれません。
しかし、物語が進むにつれて、無一郎の過去や心の傷が明らかになり、なぜ態度が冷たかったのかが徐々に理解されていきました。
刀鍛冶の里編では、記憶を取り戻すことで人間らしさを取り戻し、仲間のために命を懸けて戦う姿が描かれていました。その変化は無一郎というキャラクターの深みを大きく広げたのではないでしょうか。
特に無限城編での黒死牟との戦いでは無一郎の集大成ともいえるシーンであり、読者の心に強く残る場面となりました。
無一郎は兄・有一郎との絆を胸に、人のために力を使うことの意味を最後まで体現してくれました。その姿勢は、鬼殺隊としての戦いの中でも際立って尊く、美しいものでした。
時透無一郎はただの天才剣士ではなく、苦しみや喪失、記憶の欠如という困難を抱えながらも、人として大切な心を取り戻して、誰かのために戦い抜いた英雄であると私は思います。
霧のように儚く、けれども確かな強さを持った生き様は、物語が終わった後も多くのファンの心に残り続けています。この視点を踏まえ、もう一度「鬼滅の刃」を振り返ってみることをおすすめします。






